家を建てたいけれど、少しでも価格をおさえたいと思うのが本音だと思います。
しかし、そのようなローコストで建てた家ですと、自分たちが思い描いている理想の家どころか、満足度の低い家になってしまい、後悔する可能性が高くなります。
そうはいっても、安い家はとても魅力ではありますが、そもそも、1,000万円(土地を所有していることが前提)という価格で家を建てることはできるの、また、2,000万円、3,000万円の家とはどういったものなのでしょうか。
1,000万円の家
1,000万円で家が建てられるのであれば、それは破格の価格なのは間違いありません。
では、賃貸暮らしで毎月の家賃を支払い続けるのはどうなのか?
そのような疑問があれば、すぐにでも今ある資金や今後支払い続ける家賃を、マイホームに充てたいという気持ちもあるでしょう。
結論として、1,000万円台の価格であれば家を建てることは可能です。
しかし、注意しなければならない問題点や制約があることをよく認識したうえで納得しなければなりません。
1,000万円台の家の返済プラン
1,000万円の家でも高額な買い物には違いありませんので、計画的な月々の返済プランをシミュレーションする必要があります。
変動金利、固定金利の選択肢がありますが、変動金利はその言葉の通り、融資側(銀行)が市場動向を踏まえ毎月変動させる方法で、固定金利よりも利子が安くなります。
一方の固定金利は、一定の期間(5年や10年など)の金利が固定されていますが、変動と比べると倍、もしくはそれ以上の高い利子を支払い続ける必要があります。
1,000万円の住宅を建てる場合、仮に35年ローンのボーナス払いなし、変動金利が0.5%ですと、月々の返済額が25,958円で総額は10,902,385円となります。
固定金利の場合、仮に1.5%ですと毎月の返済額が30,618円、総額が12,859,535円になります。
これは既に土地を所有していて土地の購入費を含めいない前提ですが、この金額であれば家計の負担もかからないため、現実的に1,000万円の住宅は夢ではないことになります。
そして、土地なしの場合はどうなるかというと、以下のような感じになります。
土地代が1,000万円かかったなら、住宅の建設費用を合わせると2,000万円となり、状況は一変することが容易に想像できるかと思います。
更に1,000万円の住宅とはいうものの、建設費用や土地の購入代金といったもの以外にも、別途費用がかかるものがあります。
土地の地盤強度が低ければ着工前に地盤改良をしなければなりませんし、外構工事(建物本体以外の庭や玄関、塀や門、カーポート)などがありますので注意が必要です。
この別途費用ですが、目安としては本体価格の2割程度を意識するようにしてください。1,000万円の家とはいうものの、実際に1,000万円ピッタリの価格で家を建てることは難しいのが現実です。
坪単価20万円の罠
ローコスト住宅を扱うハウスメーカーでは、売り出し文句として「坪単価20万円の家」と書かれているのをよく見かけます。
坪単価20万円だとすると、1,000万円あれば50坪の家が建てられ、持ち家一戸建ての平均の40坪を上回る大きな家が建てられるように思いますよね。
しかし、こういったローコストを勧めている住宅メーカーの坪単価にはカラクリがあります。
そもそも、坪単価はどのように計算するのでしょうか。
坪単価とは家を建てるときの1坪当たりの建築費のことで、建物の本体価格を床面積(坪)で割った数値のことを指します。ゆえに、
[坪単価] = [建物の本体価格] ÷ [床面積(坪)]
という計算式が成り立ちます。
床面積とは
建物の面積を見る時に「延べ床面積」と「施工床面積」というものがあります。
「施工床面積」というのは、ベランダ、車庫、玄関ポーチなどを含む、全体の大きさのことで、どこまで施工床面積に含むかは各住宅メーカーによって異なります。
「延べ床面積」とは、それらを含まない純粋な床の広さです。そして、「施工床面積」で計算した方が坪単価は安くなります。
「施工床面積」と「延べ床面積」のどちらで計算するかは各住宅メーカーによって異なりますが、ローコストの住宅メーカーは「施工床面積」で計算することが多いようです。
坪単価がどのように計算されているかを見ずに、価格だけで判断しては大きな勘違いを生むことがあります。
家の建築費について
建築費は安ければ安いほどよいと思っている方がいますが、よい家を建てるためには、やはりそれなりの予算をかけなければなりません。
その建築費を左右する大きな要素は、「面積」「性能」「素材」「デザイン」「施工力」「施工会社の経営力」の6つが挙げられます。
最も分かりやすいのは面積で、その他、住宅性能で断熱性を高めることも建築費も上昇させる要因となります。
また、住宅本体に使用する素材は合板よりも無垢材が高く、ビニールクロスよりも左官仕上げのほうが高いなどの違いによって建築費が上下します。
デザインについては、建築費とは関係がないように思いますが、変わったデザインや特殊な寸法になると別途設計料が発生するので、やはり建築費への影響は少なくありません。
施工力とはいわば職人たちの技術力であり、現場監督の力量もそれと同じくらい重要です。
簡単な仕事は技術のない職人や監督でもできますが、複雑で繊細な部分の作業ができる職人を使えば、確実によい仕上がりになります。
施工会社の経営力とはまさに倒産リスクのことで、5年後、10年後の将来にわたるメンテナンスはもちろん、建築中に倒産されてしまったら目も当てられません。
このような理由を考えると、瑕疵保険に入っている住宅会社や大手ハウスメーカーであれば安心かもしれません。
しかし、ハウスメーカーの場合、規模が大きく、広告宣伝費や営業マンの人件費が高いこともあり、地元の工務店と比べると総予算のアップは必然となります。
1,000万円台で家を建てるなら
家づくりには、様々な費用が掛かりますが、もし、1,000万円で建てるということであれば、最低でも土地代と本体価格の他に400万円ほどはかかると考えてよさそうです。
そのため、600万円で土地と本体価格を抑えられれば可能といえますが、現実的には不可能です。
確かに近年では、本体価格が500万円の家も売り出されているますが、これには土地代が含まれていません。
もし仮に新築で1,000万円という家が手に入ったとしても、とても満足できる家ではないことは確かです。
それでも家を少しでも安く手に入れたいということであれば、坪単価が32万円台から55万円以内の以下のハウスメーカーがお勧めです。
- タマホーム(43万円~48万円)
- アキュラホーム(45万円~55万円)
- アイフルホーム(47万円~52万円)
- レオハウス(32万円~42万円)
- クレバリーホーム(45万円~50万円)
- ユニバーサルホーム(45万円~55万円)
まずは、複数の住宅メーカーにアプローチして比較してみることが重要です。
2,000万円の家
自分の城を築きたい!誰もがそう思う夢のマイホームですが、それはいろいろな角度から考える大変な作業になります。
その中で今回は、住宅の価格をまず先に決めることをスタートとして、計画の立て方をご紹介します。
『そもそも住宅の価格はどこまで含まれているのかよくわからない』
『建築途中でどんどんオプションが増えてしまい計画当初の価格より大幅に予算オーバーしてしまう』
このような話しをよく耳にしたりします。
ご自身の家づくり計画では失敗したくないですし、大幅な予算オーバーにならないために、知っておくべきポイントを4つに分けて解説します。
本記事のキーワードは、2,000万円台で家を建てるです。
ただし、2,000万円台といっても、2,000万円から2,999万円までと幅が広いため、まずは、ご自身の目安を立てておいて頂きたいことを前提に、目安となる前後100万円から200万円の幅があると、気持ち的にも余裕が生まれるのかなと思います。
家を建てるエリアの平均坪単価を知る
住宅の坪単価というのは住むエリアによってまちまちで、例えば、北海道と東京とでは相場が違いますし、同じ東京でも、23区内と立川市や八王子市では異なります。
そのため、まずは、自分の住むエリアでは、平均の坪単価がいくら位なのかを事前に調べることが重要になります。
マイホーム計画の際には、モデルハウスや完成建物見学会などに出かけたりもしますが、ハウスメーカーや工務店、設計施工会社によって坪単価はさまざまなため、「御社では平均坪単価はいくら位でしょうか?」と質問してみて下さい。
そこで、しっかりとした説明や回答が得られなければ、その時点でその会社をアウト判定していいと思います。
そして次に、その坪単価の中にはどこまでの標準仕様(施工)が盛り込まれているのかを知ることです。
後から追加費用がかかるものがあるのか、坪単価とその他の施工に必要な費用の区別があるのかどうかなどです。
これらをしっかり情報収集し、モデルハウス等に出かけた際には必ず確認しましょう。
予算内でどれくらいの広さの家が建てられるのかを知る
大よその坪単価とそこに含まれる施工、付属で必要な施工内容などを把握できれば、次は予算内で収めるために、どれくらいの広さを確保できるのかを知ることです。
例えば、予算を2,400万円として、坪単価が60万円とします。
この予算を坪単価で割れば広さが算出できますので、この場合は40坪ということになります。
それから、その40坪の内容を整理します。
玄関、リビング、キッチン、バスルーム、トイレ、客間、寝室、子ども部屋、クローゼットなど、欲しいものはたくさんありますよね。
ご自身の家族構成や将来的なライフスタイルをシミュレーションし、必要なスペースを書き出しておくことをお勧めしますが、この時点では、まだそれぞれの広さを考慮していなくても大丈夫です。
ただし、ここでポイントになることは、今現在、10年後、20年後位までのライフスタイルの変化を見据えることです。
広さの大小よりも、必要の有無を間取り作りの基本にし、後々になって影響が出ないように家族でしっかりと話し合ってみてください。
予算、広さを把握した上で、業者の絞り込みを行う
住宅を施工する業者はいくらでもありますが、大手ハウスメーカーから地元の工務店、設計と施工が別会社で進める業者など、どの住宅会社が良いのか、依頼すればいいのかわかりませんよね。
各社のほとんどはホームページを持っていて、インターネットで検索すればいくらでも情報収集ができますが、その記載されている情報が全てが正しいとは言えません。
そのため、業者の選定にはまず、ご自身が好きな住宅メーカーや工務店から入ってもいいですし、施工実績や売上げ規模、その会社の経営理念、住宅に対する取り組み方が自分たちにピッタリなのかを確認してみてください。
どこでも同じだろうと業者任せにすることが一番危険です。
そして、業者の絞り込みの目安は、5~7社が適正かと思っています。
それ以上ともなると、打ち合わせすることが目的となってしまい、体力的にも疲労が蓄積され、拘束される時間、本当に自分たちが求めていた家づくりなのかが見失ってしまいがちになります。
逆に5社未満となると比較対象が少なく、検討から外れる業者がでてくると、すぐに枯渇してしまいます。
候補の業者と予算や間取りバランスを考え打合せを重ねる
自分たちの予算枠が大よそ決まり、平均的な坪単価と住宅の仕様(施工)も理解しました。
その予算の枠内である程度求める住宅の広さがうっすらと見えてきて、それに見合った業者も5社程まで絞り込みができました。
ここからがいよいよ大詰めで、一番大変で大きな決断を下す大切な道になります。
絞り込みされた業者は、当然ですが、家を建てる敷地の調査や近隣の環境、生活インフラ等の確認をします。
その上で、自社で建築申込みを頂くために、お客からの要望となる間取りや住宅に対する思い、どういう家にしたいのか、どういう生活を思い描いているのかなどを細かくヒアリングします。
ヒアリングしているうちに、ご自身の考えが変わったり、希望が増えたり、業者から提案を受けたりと、一業者当たりおよそ、3~5回の打合せが必要で妥当な所でしょうか。
そのなかで業者は、いろいろなプレゼンテーションや魅力的なサービス、オプション等の話しを持ち掛けてきますが、それらの甘い誘惑に負けない冷静な心を持ってください。
そうして重ねてきたことを理想の「カタチ」にしてくれた業者、ご自身のマイホームを心から一緒に築き上げてくれるパートナーを1社に決定することになります。
これは、ご自身たちにとっても大きな決断でもあり、業者も残るか落とされるかの2つに1つですから、それは大変必死です。
お互い思いをカタチにする打合せを重ねてきた中で、情が生まれてしまうこともありますが、決めるのは1社だけで、非情ですが割り切らなければいけません。
さて、業者を1社に決定したので、ここからが一番大切な時間です!
本格的に思い描いてきたマイホームを「カタチ」にする詳細な打ち合わせになります。
1社に決定する時点ですでに、お互いに信頼関係ができているため、わからないこと、疑問や不安などは全て業者に話し確認しましょう。
家の本体となる標準装備の色、形、デザイン等々の決定、施工スケジュール、地鎮祭や上棟式、引き渡しまでの工程、引き渡し後にやるべきこと、それまで業者の決定前にしていなかったことを確実にチェックしていきましょう。
3,000万円の家
3,000万円台といっても幅がありますが、日本における平均的な概算ですと、土地付き注文住宅価格は4,000万円ほどでになります。※公益財団法人・生命保険文化センター調べ
土地付きということで、住宅本体の価格がいくらかは定かではありませんが、3,000万円台はひとつの目安になる数字ですね。
3,000万円と聞くと、「少し高いかなぁ」という印象もありますが、目安にし易い価格帯となるため、ここをスタートにしましょう。
その前に、ご自身たちの希望する大よその坪数は、ハウスメーカーや工務店などで用意されている企画型プラン集などで、目途を立てておいた方が良いと思います。
住宅価格に含まれるものは何?
今一度整理しておきたいことは、住宅価格はどこまでを含んでの価格なのかです。
家を建てるうえでは、大きく分けて2つの費用を用意する必要がありますが、それは、住宅価格と住宅を建てるうえでかかってくる諸費用です。
まず、住宅価格に含まれるものを、以下に箇条書きでリスト化します。
- 坪数×坪単価
- 住宅外設備工事(前面道路下に埋設されている上下水道から土地内への引込工事)
- 住宅外設備工事(前面道路公設電線からの住宅への引込電気工事)
- 地盤調査による地盤改良にかかる費用(地盤が弱ければ杭工事や地盤改良が必要)
- 住宅内設備工事(土地内に引込んだ上下水道から住宅内への水回り引込工事)
- 住宅内設備工事(住宅内の電気配線工事)
- 坪単価に含まれない設備機器(例:エコキュート、オール電化仕様、太陽光発電等)
- 坪単価に含まれない仕上げの仕様のグレードアップ費用(キッチンやフローリング等)
- 照明器具
ざっと挙げてみましたが、いかがでしょうか?
その他にも、住宅の建物本体以外にかかるものがありますが、まずは、ここを抑えておかないと、後で大幅に予算オーバーになってしまいます。
そこで、この9項目の中で、住宅の坪数を決める前に理解しておく必要のある項目について解説します。
3,000万円台の予算から予め差引しておくものは何?
公道から住宅へ引込む設備工事
項目でいえば、住宅外設備工事の2つが該当します。
これはあえて2つに分けましたが、それには理由があり、電気と水回りの2つの異なる設備工事になるからです。
生活する上では電気が必要ですし、水道と下水道も当然必要になります。
この2つの設備工事は、公道に埋設されている上下水道管から土地に対して配置される住宅までの距離によって費用が変わります。
電気設備も同じですが、概算でいいので、業者選定の際にはしっかり項目が入っているかどうかを確認しましょう。
地盤調査による地盤改良工事費用
目に見えない部分の工事ですが、住宅を建てるその土地の地盤の状況を予め調査します。
これはどの業者も必ず行うもので、住宅のお引渡し後の保証対象にも関わってきますので、ここもしっかり事前に抑えたい項目です。
地盤調査の結果、改良の必要がない場合、もちろん費用は発生しませんが、改良の必要ありともなれば、確実に行わなければいけません。
地盤改良工事には大きく3つあり、ここではそれぞれの工事内容は割愛しますが、どういう工事なのかは業者に詳細説明を求めてみてください。
地下の堅い層(岩盤など)がある場合、堅い層まで杭を打込む工事、地下に堅い層がなく軟弱な層しかない場合、摩擦杭工事、ある程度の深さまでの地盤改良工事など、これらの地盤改良工事は、別途必要な経費となります。
見落としがちな必要費用、それは消費税!
あらかじめ必要な工事費用が見えてきた時、例えばそれが、300万円、500万円といった感じになりますが、土地の形状や地質によって変わるため、しっかりご自身の住宅を建てる土地のことを把握しましょう。
例として、工事費用を予算の3,000万円台から差し引いてみたいと思います。
そこで算出された価格が、実際の住宅にかけられる予算ということになります。
例:予算3,300万円、設備工事150万円、地盤改良100万円の場合
3,300万円―150万円―100万円=3,050万円
計算するまでもないですが、住宅本体にかけられる価格が3,050万円となりますが、そう思いますよね?
ところが、ここでもう1つ忘れてはいけないことがあります。
それは、消費税の10%分です。
意外に考慮されていない部分ですが、住宅の場合は価格が高い分、10%の消費税は大きく予算に影響されます。
3,050万円が内税となりますので、
3,050万円÷1.1=2,772万円(端数は切り捨て)
この2,772万円が住宅にかけられる予算になりますので、設備工事、地盤改良工事、消費税がいかに大きいかがわかりますね。
どんな住宅にするか明確にし、優先順位をつける
前述のように事例を持って解説を進めますが、自分たちにかけられる予算は、2,772万円ということがわかりました。
この予算にたどり着くまでは並行して業者の絞り込みや間取りの検討を進めていることになると思いますが、より明確な目標が見えているはずですので、方向性としては正しい計画に向かっています。
あとは、2,772万円の内容を十分に検討していくことになりますが、そこで大切なのは、
自分たちのこだわりと譲れない明確なコンセプトと優先順位をつけることです。
これなくしては、満足のいく家づくりはできません。
- 自然素材仕様にしたい(珪藻土、無垢材仕様など)
- キッチンはこだわりたい
- 最先端のエネルギーゼロ(ZEHなど)住宅にしたい
- オール電化にしたい
- アットホームな間取りにしたい
- プライベートな書斎が欲しい
自分たちの要望を挙げればきりがありませんが、なかなか希望通りに全てを取り込むことができないことがあるため、それが本当に必要なのかをよく検討し、優先順位をつけていくことが大切です。
「100%は求めないが80%」なら上出来というくらいの心持ちが良いと思います。
最後にひとつ冒頭でも少し触れましたが、自分たちが求める住宅の広さはある程度メドを立てておいた方が良いということでしたが、仮に38坪程度の広さならば、
2,772万円÷38坪=72万9,000円/坪
という坪当たりの計算がたちます。
つまり、1坪当たり73万円近い内容の仕様を考えて自分色の住宅を検討できるのです。
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