ローコストで家を建てる賢いコストダウンのアイデア

ローコストで家を建てるためには、どの部分をコストダウンすれば実現可能なのでしょうか。

出費を抑えるためとはいえ、不要と思われる部分の全て諦めるのではなく、ローコストでも満足のいく家を建てることは可能です。

様々なケースを例に、このページでは、家づくり初心者では思いもつかないコスト削減の方法を解説します。

コストダウンのポイント

基礎部分や構造のコストダウンはNG

基礎や構造はあとから取り換えができないうえ、建物の耐震性や耐久性に関わる重要な部分です。

そのため、この部分の建築費用をカットするのはやめましょう。

一般的には、木造3階建て以上の家を建てる場合、建築確認申請の際に構造計算書が必要になります。

木造2階建てでは簡易的な計算のみを行うのが普通ですが、できればプロに頼んで作成してもらうことをおオススメします。

構造計算書は将来の安心ためという目的と、適正なコストコントロールに効果があります。

梁や柱の太ささ、本数などがオーバースペックになっていないかをチェックできるため、無駄なコストを削れることがあります。

坪単価にはこだわらない

ローコストの家づくりでやってはいけないことは、広くして安くしたいという考え方です。

そうすることで確かに坪単価は下がりますが、全体的に密度の薄い家ができるだけで、実際に住んでから本当の満足感は得られないと思います。

そもそも、この坪単価という基準は建売住宅をベースにしたもので、「こんなに広いのにこんなに安い」というメリット部分だけを強調しているにすぎません。

プランの似ている建売住宅は他に基準がないため、購入する側もこれを目安にしがちです。

しかし、本来の家づくりとは、どれだけ希望の詰まった密度の濃い家をつくれるかです。

予算が少ないといって坪単価にこだわらず、小さくても家族の希望を凝縮したプランを考えるのことが大切です。

施工業者には明朗会計を依頼する

ほとんどの施工業者は見積もりの際、材料や設備機器にひとつひとつ値段をつけず、ざっくりとした金額を提示してきます。

その中には業者自身の利益も含まれていて、それを分けずに上乗せするのが一般的です。

建築業界では未だにこの方法がまかり通っていますが、本来は明朗会計であるべきだと思います。

見積書にはひとつひとつの仕入れ値をきちんと載せ、施工業者自身の利益も別項で記載すれば、施主にとっては、どこを削ってどこをグレードアップするかというコストコントロールがしやすくなります。

施工業者にとっては、材料の仕入れ価格をそのまま伝えているため、無理な値切り方をされることがありません。

このようなシステムをとっている業者はあまり多くはありませんが、見積もり依頼をする際には明朗会計でお願いしますと、打診してみてはいかがでしょう。

土地(敷地)選び

安くていい土地を見極める

一見すると悪条件の敷地でも、プラン次第で快適な家ができる場合もあります。

一例としてお勧めの土地は、北道路の敷地、旗ざお状敷地、狭小地、細長い変形敷地などになります。

反対に擁壁で補強された高低差のある敷地や地盤の悪い敷地、井戸や古家の基礎などの地中障害物のある敷地は、値引きされた金額以上に建築費がかさむことがあるので、安易に飛びつくのは禁物です。

安くていい土地を見分けるには、現地を多く見学し相場感を身につけることが大切で、安い敷地が本当にお得かどうかは慎重に考える必要があります。

水道や下水が引き込まれていない土地を安く購入し、自分で引き込み工事をすると、結果的に普通の敷地と同じ価格になることもあります。

また、道路との段差がある敷地を安く手に入れ、駐車場をつくるために土を削ったら、その処分代だけで100万円近くかかったというケースもあります。

それらを考えると、理由もなく安い土地はないと考えたほうがよいと思います。

防火地域では建築コストがアップ

防火地域や準防火地域に家を建てる場合、建築基準法で決められた箇所に防火サッシを使わなければなりません。

この決まりはこれまでもありましたが、2014年1月以降は、国土交通省が個別に認定した製品しか使えなくなり、防火サッシの価格が上がってしまいました。

住宅密集地などで防火サッシが必要な箇所が多い場合、数十万円以上もコストアップするケースがありますので、都市部で土地探しをする際は、このことを念頭においておきましょう。

土地を親と共有する

20代、30代の若い世代に増えているのが、二世帯住宅を建てることや、親の敷地の一角を譲り受けて自分たちの家を建てるケースです。

最大のメリットは、もちろん土地の購入費を力ットできることですが、子世帯にとっては子育てを、親世帯にとっては老後の生活をサポートしてもらえるというメリットがあります。

家は建てたいけれど、新たに土地から購入する予算がないという人にとっては、賢い選択肢かもしれません。

外構・外観

外構はあとからゆっくり造る

予算が限られているなら、新築時に外まわり全てを完成させる必要はありません。

テラスやデッキなどはスペースだけ空けておき、経済的なゆとりができてから少しずつ手を加えればいいと思います。

実際に暮らしてみると、「ここにデッキをつくるなら屋根が必要かも」などと気づくことも多いため、最初から計画するよりもいい結果になる場合があります。

庭づくりは、植樹だけを業者に頼み、草花は自分たちで植えればよく、アプローチの敷石の周囲などにグラウンドカバーをするならイワダレソウがお勧めです。

芝よりも手入れがずっと楽で日照時間が短くても育ちがよく、白い花も身近に楽しむことができます。

こだわりの外壁や窓は道路側だけ

素材感のいい左官仕上げの外壁や、見た目にぬくもりのある木枠の窓は、壁面すべてに取り入れてしまうとコストアップの原因となります。

特に外壁は面積が大きい分、素材の選び方によって建築費に大きな差が出ますので、道路から見えない部分には安価な外壁材やアルミサッシを使い、道路から見える側の壁面だけ好みの仕上げにすればコストを抑えることができます。

アウトドアスペースについて

コストを抑えるために床面積を絞るなら、デッキやテラスなどの外部空間を充実させて、開放感や広がりを手に入れたいものです。

ただし、予算をかけたわりにはあまり活用していないというケースが多いため、利用頻度を高める工夫をする必要があります。

まず、土のあるウエットな部分を限定し、ドライな部分(タイル貼りのテラスやウッドデッキなど)を増やします。

パーゴラを設けたり目隠し壁で囲んだりすると、落ち着いたパティオのような雰囲気になります。

リビングよりもダイニングキッチンに接続させると、外でのご飯やお茶に活用しやすくなります。

設ける方位は直射日光の当たる南側や西側より、春、夏、秋と快適に使える東側や北側がおすすめです。

プランニング編

床面積を絞ることがローコストに

プラン面でのコストダウンで最も効果的なのは、床面積を減らすことです。

コストのかかる基礎や外壁、屋根などがすべて小さくなるため、これだけで一気に予算にゆとりが生まれます。

家を建てるなら敷地ギリギリまで家を建てないともったいない、4人家族だから30坪は必要などと思い込みがちですが、プランを工夫すれば狭さや不便を感じることはほとんどありません。

また、家づくりで大きなウエイトを占めるのが人件費でもあります。

家の仕様によりますが、一般的に大工(施工者)の工賃は1坪ごとに計算されるため、建物の床面積を絞ればそれだけ人件費を抑えることが可能というわけです。

そのためには、無駄なスペースをできるだけ省いたコンパクトなプランが有効で、廊下をつくらずにLDKと水回りを直結させることや、反対に通路の幅をあえて広げ、そこに別の役割をもたせて暮らしに役立てるなど、面積を有効的に使えるランを考えましょう。

建物の凹凸をシンプルに

面積が同じでも、外周に凹凸の多いプランの場合、シンプルな四角いプランよりもコスト高になる傾向があります。

理由としては、外壁の面積が多くなったり、屋根形状が複雑になったり、コーナー部分の仕上げに専用の部材が必要となるからです。

つまりローコスト住宅にするためには、なるべく凹凸のない箱形で、総2階のプランを選ぶのが最も有効的といえます。

とはいえ、これはあくまで敷地条件や希望とのバランスで決まるため、間取りも、1階にすべての水回りを配し、吹き抜けもつくらないベーシックなプランがいちばんローコストですが、理想の家とかけ離れてしまっては意味がありませんので注意が必要です。

部屋ごとに細かく仕切らない

建物内部のプランはなるべくシンプルにすることがコストダウンの秘訣です。

部屋同士を仕切る壁や建具を少なくすれば、その分だけ木材や仕上げの内装材、建具にかかるコストを抑えることが可能です。

間仕切りの少ないプランの場合、コスト面だけでなく将来の暮らしにもメリットが大きくあります。

例えば、夫婦ふたり暮らしや子どもが小さいうちは、間仕切りのないワンルーム空間を広々と使い、子どもが成長したら壁を立てて個室をつくり、子どもが巣立ったらワンルームに戻す。

このように、ライフスタイルに合わせて間取り変更を容易にすることができます。

このときのポイントは、外壁で建物全体をしっかり支える構造にしておき、屋内の耐力壁をなるべく減らすことで耐震性を損なうことなく、間仕切り壁の撤去・新設の自由度が増します。

優先順位をつけてコスト配分

プランニング中にありがちなことは、あれもこれも造っておこうという意識が働いてしまい、余分なスペースや仕様、設備を加えてしまいがちです。

これが積もり積もって床面積がアップしてしまい、コストアップにつながることも少なくありません。

それだけでなく、全体に等しくコストをかけることで、プランのテーマがぼやけてしまい、本当に欲しかったもののよさが埋もれてしまうこともあります。

このような事態を避けるためには、新居に対する希望に対し項目の優先順位をつけ、順位の低い項目を省いていくことが必要になってきます。

このコスト配分のメリハリができればできるほど、満足感が高まると思います。

部材・内装材編

工事の項目をできるだけ減らす

新築工事といっても、そこに関わる全ての職人の種類は様々です。

ベースとなる木工事をする大工の他にも、外装では板金屋、サイディング屋、左官屋、タイル屋などがあり、内装では左官屋、タイル屋、クロス屋、家具屋が工事を分担します。

外装材や内装材を決めるときは、どうしても材料の値段に目がいきがちですが、じつは職人の工賃のほうがコストに大きく影響したりします。

つまり、関わる職種がなるべく少なくなる仕上げ方にすることが、コストを抑えるコツになります。

例えば、家具屋を頼まず、大工に簡単な棚をつくってもらう、水回りの壁をクロスにしたら、床もクロス屋が扱えるクッションフロアにするなどです。

各職人の仕事領域は、依頼する設計担当者に確認してみてください。

モノによっては施主支給が有効

施主が部材や設備などをとり寄せることを施主支給といいます。

施主支給の場合、業者を通して発注する中間マージンをカットでき、ネットで価格の比較をしながら選べるなどのメリットがあります。

部材の中でもっとも簡単に施主支給できるのは畳で、とくに置き畳は、ホームセンターだと1枚3,000円程度で入手することができます。

ただし、部屋の面積にサイズをピッタリ合わせるのが難しいため、大工に頼んで周囲を板張りにしてもらうなどの工夫が必要になります。

フローリングなどの床材も施主支給できますが、平面図から必要な数量を割り出すのは専門業者でなければ至難の業です。

このように、内装材や部材を施主支給するときは、コストを抑えられることができますが、設計者や施工業者との綿密な打ち合わせが必ず必要になります。

仕上げられる部分は後に残す

外構と同様に、内装も入居してからゆっくり仕上げていくという選択肢があります。

壁面などを下地のままにしておいて、あとから左官材やペイント、クロスなど好みの素材で仕上げます。

仕上げは暮らしにゆとりができた段階でプロに頼んでもいいですし、DIYに挑戦するのも面白く、コスト削減にもなります。

その他では、家族しか使わない目立たない納戸やクローゼットの内部は、何もせず下地のままでもいいかもしれません。

窓まわりは一般的なサッシにする

雰囲気のあるピクチャーウインドーをつくりたくても、特殊なサッシはとても高価です。

そこで、低コストでできる普及品のサッシで、印象的な窓まわりをつくる方法を紹介します。

ひとつは窓の手前に壁を立て、窓枠を壁で隠す方法です。

室内から見えるのはガラスだけになり、フィクス窓(はめ殺し窓)のような印象になり、壁は左官仕上げにすることをお勧めします。

もうひとつは、大きな窓のかわりに安価な小さい窓を連続させ、窓と窓の間のサッシが隠れる幅の板を室内側にとりつける方法で、木製窓のような雰囲気に仕上がります。

設備機器編

安価な既製品を採用する

家は40年50年と住み続けていくものですが、毎日使うキッチンや洗面台などの水回り設備は、取り替えの時期が比較的に早いです。

つまり、建物と違い消耗品という扱いになるため、もし予算が限られているなら、長持ちしてもらいたい建物本体に予算をかけ、既製品でまかなえる設備はコストを抑えるのが賢明です。

最もローコストなのは、普及品のシステムキッチンや洗面化粧台ですが、それが味気なければ、既製品と造作工事を組み合わせることもひとつの手です。

たとえばキッチンの場合、カウンタートップだけを既製品にして、土台部分を大工さんにつくってもらいます。

このケースですと、材質や収納のスタイルを自由に選べるのが魅力です。

また、手頃なユニットバスを採用する場合、浴槽だけはプラスチックよりも劣化の速度が格段に遅い人造大理石を選ぶのがオススメです。

照明器具はシンプルなもので十分

照明器具と聞くと、真っ先にシェードのデザインを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、照明の本質はデザイン性ではなく明かりです。

それを踏まえると、デザイン性製品よりも、裸電球やシンプルなガラスシェードの方が、光そのものの魅力が強く伝わり明るくなります。

当然、このようなシンプル製品の方がコスト面でもローコストで、飽きたときや模様がえをするときに別の器具への取り替えも気軽に可能です。

それとは別に、照明を多くつけすぎないことも、コストを抑えながら明かりを楽しむポイントです。

照らしたいところを絞って照らすことで、光に美しいコントラストが生まれ、塗り壁などの素材の表情も引き立ちます。

天上づけの照明だけでなくフロアスタンドなど、タイプの違う光源を加えるのも一案です。

施工業者経由で購入する

使いたいメーカーが決まっていない場合、最も安価に設備機器を入手する方法があります。

それは、施工業者にはそれぞれ長年の付き合いのあるメーカーがあり、まとめて仕入れる独自のルートをもっているため、そのメーカーの製品から選ぶと、かなり割安に購入できます。

その中でも、流通している数量の少ないハイグレードなタイプより、流通量の多い普及品はかなり値引き率が高くなります。

また、メーカーによっては一戸建て用とマンション・アパート用の製品を販売しており、一般的には後者の方が安価です。

ショールームで実際に見てみて、サイズに問題がなく、一戸建て用と比べても遜色がなければ、後者製品を選ぶ手もあります。

冷暖房設備はスペックにこだわらない

冷暖房設備に限らず、家電製品の寿命は10~15年です。

モデルチェンジのサイクルも早いので、高価でハイスペックの最新モデルより、やや型が古くても手頃なものがおすすめです。

エアコン選びの基準はどれくらい涼しくしたいのか、暑さをやわらげたい程度であれば、

12畳の部屋に6~8畳用のエアコンで十分というケースもあります。

新築時は目安の畳数が小さいものを設置しておき、必要になったらもう1台追加できるように、ダクト用の穴とコンセントだけ用意しておく手もあります。

また床暖房の設置には数十万円~100万円ほどの費用がかかってしまうため、それを考えると、使う時期は1年のうちでも数カ月のため、ホットカーペットでもいいのではと思います。

施主支給するなら施工業者に相談

内装材や部材と同じく、設備機器も施主支給すればコストダウンにつながります。

特に施工業者が扱っていないメーカーの製品を使いたいときは、施主が直接購入したほうが割安になるケースが多いです。

しかし、トラブルの原因にもなりやすいため、設計者もしくは施工業者との綿密な打ち合わせが肝心です。

まず、注文書の一式に何が含まれているのかを施工業者とすり合わせ、部品の不足や重複がないかを確認してください。

そして、ショールームで見積書をつくってもらい、それを業者に見せ、一式に含まれる内容を伝えるのがオススメです。

品番さえ分かれば同じものをネットで探し、より安く購入することもできます。

発注したあとは、いつ誰が受けとるのか、届いたものに不備がないかを誰が確認するかを明確にしてください。

収納・造作工事編

置き家具は造りつけよりローコスト

造りつけ収納は機能的ですっきりと見える半面、「製作コストがかさむ、移動できない、簡単につくりかえられない」というデメリットを併せもっています。

そこで見直したいのが、市販の置き家具の活用です。

収納が欲しい場所にスペースだけ設けておき、気に入った家具を配置します。

手頃なものを選べば造りつけ収納よりもローコストで、暮らしに合わせて簡単に移動でき、飽きたら自由に取り換えることもできます。

古びた味わいのある中古家具から、無駄がなくてリーズナブルなイケアや無印良品などの収納家具まで、使う部屋に合わせてセレクトできます。

オープン棚はローコストで使い勝手も抜群

箱状の枠も扉もないオープン棚はローコストです。

安価なツーバイ材などを使えば数千円程度で、DIYで設置するのも比較的簡単で、棚板の素材や棚受け金具のデザインによって、好みのイメージも演出することができます。

扉がないため、開ける、探す、閉めるというアクションがいらないのもメリットです。

これだけで家事の手間が軽減され、とくにキッチンで毎日使う調理器具や調味料などは、オープン棚に並べてすぐ手にとれるのが理想的でしょう。

また、棚板の奥行きを浅くしておけば、モノが重ならないのでひと目で置き場所がわかり、とり出すのも戻すのも簡単です。

ウォークインクローゼットに家具工事は不要

引き出しなどのついた収納をつくるには家具工事が必要になり、人件費がかさんでしまいます。

そのため、ゲストの目にふれないクローゼットの内部では、安価な既製品の収納アイテムを活用するのが賢い選択です。

ハンガーをかけるポールを付けたり、簡単な棚をつくるだけなら大工にお願いできるため、ポールの下をあけておき、そこに既製品の引き出しを並べれば、面積に無駄がなく使い勝手もよくなります。

また、出入り口のドアを省いてしまい、カーテンやロールスクリーンで代用するのも小さなコストダウンの方法です。

まとめ

ローコストで家を建てるには、それなりに住宅に関する知識が必要です。

しかし、「難しいことはわからない」ということであれば、ここで紹介したコストダウンの方法はきっと役に立つと思います。

これから家づくりを考えている方は予算をかけすぎず、満足のいくマイホームを実現してください。

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